2014年7月に発売された妊娠出産エッセイです。
できたら、こうなった! 妊娠から出産までに経験したこと、感じる&考えたこと。すべての女性&男性におくる体験記。(本の話webより引用)
『乳と卵』で芥川賞を受賞した川上未映子さん。
2013年に男の子を出産しています。
旦那様は、同じく芥川賞作家である阿部和重さん。
妊娠と出産、産後の経験をつづった本が『きみは赤ちゃん』なのです。
きみは赤ちゃん [ 川上未映子 ]
出産編と産後編の2部構成です。
前半・出産編
妊活~マタニティライフ~出産
後半・産後編
新生児~1歳になるまで
妊活~マタニティライフ~出産
後半・産後編
新生児~1歳になるまで
出産編はCREA WEBで連載されていました。出版後は連載の一部だけを公開しています。
一部をネット上で読めますよ。
きみは赤ちゃん|本の話WEB
刊行を記念した「川上未映子さんの出産・育児お悩み相談室」もネット上で読めます。
芥川賞作家。
彼女の著作を読むのは、これが初めて。
ページをおそるおそる開いてみると…
親しい友達からのながーいながーい手紙のような、そんな文章がありました。
くどいと感じる時もありますが、それがますます、おしゃべりを聞いているみたいで。
by いらすとや
この本に書いてあること
- 妊活?
- つわり
- 出生前検査
- 無痛分娩
- マタニティブルー
- 帝王切開
- 産後クライシス
- ベビーシッター、それにかかるお金のこと
- 保育園
私がフムフムと読んだ個所をピックアップしてみました。
とにかく内容の濃いエッセイなんですよ!
妊娠・出産で立ちふさがる困難を順当(?)に体験しています。すごい。
無痛分娩の入門書として
無痛分娩を選択するまでの葛藤から、その費用、
無痛分娩の専門の産院のこと、
出産のときにはどんなふうに無痛分娩が進められていくのか…。
無痛分娩エッセイとしても(でも子宮口が開かずに帝王切開になるのですが)読みごたえがあります!
夫婦の気持ちのズレ(産後クライシス)
マタニティ―ブルーも含む。夫である阿部和重さんとの気持ちのズレが、
妊娠中も出産後も、こまかく書かれています。
旦那さんにイライラする原因の中には
「自分の子どものことなのに無関心っぽくない? 私ばっかり考えているみたいじゃない?」
というものがあると思います。
by いらすとや
妊娠中の川上さんが、阿部さんにキレたエピソードをひとつ紹介します。
妊娠○か月の赤ちゃんがどういう状態なのか知りもしない。インターネットで調べればすぐわかるのに、それをしようともしない!
これ!!
すごくわかります!!
今では「うんうん、そうだよね~。イラッとするよね~」と流せますが、
リアルタイムだったら旦那さんに「このページを!今すぐ読みなさい!!正座して!!」と突きつけると思います。(こんな嫁いやだ)
一方で「今はお腹の中でリンゴくらいの大きさらしいよ♪」と報告してくるプレパパさんもいるでしょう。
それで満足するかっていったら…違うんだなあ…(どういうことだよ)
逆にそれがイライラする人もいるみたいですしね。
妊婦&産婦はむずかしいんです。
帝王切開こそ究極のお産だ
恥ずかしながら、帝王切開については無知でした。その産後の壮絶たるや…
そうだよね、自然分娩後の痛みをカロナールでしずめられない(私の実体験)のに、
お腹を切った痛みがロキソニンでおさえられるわけありません!
しかも、傷がふさがるまで休むこともできず、活動しなくちゃいけないんですからね。
拷問だよ…これ…
帝王切開のくだりを読んだときには想像だけで痛くなりましたよ。
帝王切開を乗り越えたママさん、すばらしいです。偉業です。
この本をおすすめしたいひと
- つわりのひと
- 無痛分娩に興味があるひと
- 嫁の気持ちがわからなくて困っているひと
- 帝王切開の予定のひと
悩みがいっぱいでつらくなっているひとにも
川上さんは、いろいろなことに悩み、それをひとつずつ丁寧に書いています。私も小さなことに悩みました。でもそれを話すことって、なかったんですよね。
妊婦さんや産後ママの感じる、でも置いてけぼりになってしまう気持ちが、この本にはしっかり書いてありました。
「こんなことに悩んでいるのは私だけ? 私が考えすぎ?」
そんな孤独感がやわらぐかもしれません。
by いらすとや
最後に
共感できない個所もありましたが(私もつわりは重かったのですが、彼女との感覚はまったく違いました)、それは個人の体験なのだから当たり前ですね。芸能人ママの妊娠出産エッセイに比べると、無難じゃないところもあるので、好き嫌いがわかれそうです。
私には読んで良かった!と思える一冊でした。
妊娠期も0歳期もすでに過ぎました。この頃は遠い昔のように感じていたことが、この本を読んでいると鮮明によみがえってきました。
妊娠から出産、その後の育児のことまで追体験できます。
友達が妊娠したらプレゼントしたいです。